こんにちは。みかずきです。
今回は、人類初の人工衛星スプートニクがアメリカの教育に与えた意外な衝撃について解説します。
それは、「進化論」の教育についてです。
皆さんはどれくらいのアメリカ人が
「神が人を創った」
と考えていると思いますか?
なんと10人に4人はそう考えているのです。
しかもこれは減ってきての数字なのです。
2004年11月に米CBSテレビが行った世論調査では、回答者の55%が「創造論」を信じていると答えていたというのですから驚きですよね。
米ピュー・リサーチ・センターがその約10年後の2015年11月に明らかにした調査で、「10人に4人」に減ったのです。
世界の科学をリードしているアメリカの人たちの多くが進化論を信じていないと知った時は、僕は衝撃でした。
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進化論は宗教と対立した
アダムとイブの話や、天地創造の話は、少しくらい聞いたことがあるのではないでしょうか?
2020年現在もそれを信じている人ってアメリカでは意外と多いようです。
では、進化論が発表されてから、どのようにアメリカに浸透していったのでしょうか?
ダーウィンの「種の起源」が発表されたのは1859年
有名なこの学説発表からすでに160年以上が経過しており、今や「進化論」は世界的に信じられていることだと思っていました。
日本に住んでいると、宗教的な思考に触れる機会も比較的少なく、旧約聖書などといったものは、知識として少し聞いたことがある程度ですよね。
20世紀初頭に、アメリカの公立学校教育で「進化論」を取り入れようとしたら、キリスト教を信仰する人たちから猛反発を食らったそうです。
旧約聖書の創成期では、すべての生き物は神が創造し、人間もそうであるとしています。
それに対して「進化論」は「人間がサルから進化した」といったことを言うので、聖書に書かれていることと違うんですね。
そんなこんなで、「反進化論法」なるものができました。
簡単に言って、反キリスト教的理論が広まることを阻止するために、進化論を教えることを禁止する法律です。
それによって進化論裁判が何度も開催され、大真面目に議論されました。
すごい世界ですね。
詳細は省きますが、進化論と神が世界を創造したとする創造論の授業時間を均等にする法律ができてそれがまた違憲判決になったりとごちゃごちゃしていたようです。
有名なのが
です。
ソ連に人工衛星打ち上げで先を越された
アメリカが進化論と創造論で揺れる中、1957年に当時のソ連がスプートニクを打ち上げ、世界初の人工衛星打ち上げを達成しました。
このことで、文字通り「全米が衝撃をうけた」のです。
アメリカ政府の科学政策そのものが問いただされ、公立学校における科学教育の見直しが行われました。
その流れであの「反進化論法」は廃止され、晴れてアメリカで進化論が受け入れられるようになっていきました。
その区切りがついたのは1987年のルイジアナ州時間均等法裁判であり、1920年代に始まった進化論裁判から60年以上たっていました。
宇宙開発というがっつり科学技術がアメリカの歴史上めちゃくちゃ浸透していた宗教観をガラッと変えたのは間違いないです。
なんか意外ですよね。
おまけ
進化論って日本では当たり前ですが、世界では全く違うということが良くわかりましたね。
アメリカでは何十年もかけてようやく受け入れられるようになったんです。
しかも個人的にはそこに宇宙開発が一枚かんでいたなんてのも意外で面白かったです。
ここからはおまけなので、興味ない方は飛ばしても大丈夫です。
進化論の意外な側面
進化論といえばチャールズダーウィンが「種の起源」で発表した、ちょー有名な学説ですが、意外な側面もあったのです。
それが、
- ポケモンの「進化」は進化論で言う「進化」ではない
- 進化論を最初に世に出したのはダーウィンではない
という点です。
ポケモンの「進化」は進化論で言う「進化」ではない
多くの人が勘違いしているのが、進化論の「進化」の定義です。
進化論では、「進化」を『目的のない』ものとしています。
「進歩する」「前進する」「より良くなる」などの意味はないのです。
要するに、別に強くなることだけが「進化」ではなく、ただ単に環境に適応しただけのことを「進化」と呼ぶのです。
世界ではポケモンの進化に関する、おかしな出来事も起きています。
イスラム諸国では、進化論の研究や教育は禁止されています。
(しかし、動物の分類や、人の形態変化は教科書に載っているそうです。)
あるアラブの国では、ポケモンが「進化」して成長していることから、それが進化論に基づく思考からくる事象であるので、反イスラム的と問題視されたのです。
なんだかな~
て感じですよね。
進化論を最初に世に出したのはダーウィンではない
「種の起源」を発表した1859年より前の1855年に、ウォレスという学者が、博物学会に生物の進化に関する論文を投稿していたのです。
しかし、その内容が「洗練されていなかった」ことから、注目を集めなかったのです。
このウォレスという人は、ダーウィンをめちゃくちゃ尊敬していました。
ウォレスは、自分が考えていた進化に関する学説を、ダーウィンのものと並べて発表したのですが、
「自分のほうが先に考えた」
とは言わず、
「この理論を世に知らしめる役が自分ではなくダーウィン氏であって本当に良かった」
と述べたそうです。
インテリジェントデザイン
上に書いたような進化論裁判で、進化論が一般的になったとはいえ、聖書の創造論は根強く残っています。
それが「インテリジェントデザイン(知的設計)」です。
これは、聖書を科学的に論証しようとする宗教的な論説の創造科学を基礎にして、全てを創ったのは神とは言わず、「偉大なる知性」と表現します。
ガチガチの創造論だと、科学的な議論で矛盾が生じるので、進化論を一部認めつつも、原始的な動物が人間に進化した過程は、「偉大な知性の操作によるもの」としています。
言い分としては、
「生物は偶然によって創造されたにしては複雑すぎるので、何らかな高度な知性が働いたに違いない」
だそうです。
わからんでもないですね。
まとめ
アメリカでは、10人に4人は世界を神様が創ったと信じています。
それは、進化論が正式に教育に取り入れられたのが結構最近からであることも関係あると思います。
1987年のルイジアナ州時間均等法裁判で反進化論法が廃止されるまで、創造論はごく当たり前に学校でも教えられる史実だったのです。
そこへ、ソ連のスプートニク事件が全米を震撼させ、
「進化論も取り入れなきゃやばい!」
ってなったんですね。
宇宙は広いですが、この地球も広いなと感じていただけたのではないでしょうか?