「母乳って赤ちゃんが生まれたら自然に出るようになるの?」、「
↑こんな疑問に答えます。
早産児の場合、赤ちゃんはNICUに入院となり、母子分離状態となります。
そのため搾乳が必要であり、赤ちゃんに直接飲んでもらうより大変だと感じていました。
早産児への母乳のメリットはとても多いです。
そのため、できれば母乳をあげてほしいと思いますが、ママの負担を考えると悩ましいところです。
この記事を読み、ママ自身が正しい情報を得たうえで検討してほしいと思っています。
Contents
早産児に対する母乳のメリット
早産児に、母乳を与える場合のメリットは、
- 早産児の赤ちゃんに足りない栄養素を含んだオーダーメイドの母乳が分泌される
- 免疫力アップ
- アレルギー予防
- 消化が良く体重増加が良好
- 壊死性腸炎、未熟児網膜症など早産児に起こりやすい病気のリスクを減少させる
などなどたくさん挙げられます。
本来であれば胎盤を通していろいろな栄養素をママからもらうはずでしたが、早産の場合必要な栄養素を十分蓄える前に生まれてきてしまいます。
そのため、ママの体が赤ちゃんに必要な栄養素が母乳に含まれるように適応します。
すごいですよね!!
以前の記事にも書きましたが、早産の赤ちゃんが特に注意しなければならないのが感染です。
早産であればあるほど人工呼吸器や点滴など体の中と外を交通するものが多く、感染のリスクが高くなります。
ママから胎盤を通してもらえるIgGという免疫物質は33週頃に十分量になると言われています。
そのため週数が早いほど免疫力が弱いです。
母乳にはIgAという免疫物質が含まれているため早産の赤ちゃんにとって免疫力を高めるためには母乳の存在が大きいです。
赤ちゃんが生まれても母乳は自然には出ない
まず母乳が出るようになる仕組みについて説明します。
母乳が分泌されるために必要なホルモンは
- プロラクチン
- オキシトシン
の2つです。
プロラクチンは母乳を作るホルモン、オキシトシンは母乳をピューッと噴出させるホルモンです。
オキシトシンは分泌されることで気持ちが穏やかになったりする作用もあり別名「幸せホルモン」とも呼ばれています。
この2つのホルモンは乳頭への刺激が加わると分泌されます。
つまり、赤ちゃんに直接おっぱいを吸ってもらう、または搾乳を行うことで分泌されます。
母乳が出る仕組みは産後早期と9日目から変化する
出産~産後8日まではホルモンが母乳の分泌を調整します。
上に書いたように産後早期は乳頭への刺激によってホルモンが分泌され母乳が出始めます。
最初はにじむくらいでも搾乳を継続することでだんだん胸が張ってきて、母乳の分泌量が増えていきます。
産後9日~は乳房がどれだけ空になったかで母乳の分泌を調整します。
ある程度母乳の分泌が増えて一定となってからは、乳房内に母乳が残っていると、体が「あ!こんなにいらないんだ!」と判断し、徐々に分泌量が減少していきます。
搾乳開始時期と回数
いつから搾乳を開始するべきか?
「ずばり産後できるだけ早期から!」
です。
「NICUに入院した新生児のための母乳育児支援ガイドライン」では産後6時間以内のできる限り早期から搾乳することを推奨しています。
そうすることで24時間程度で少なくともにじむ程度の母乳が分泌されると言われています。
1日の搾乳回数は?
可能であれば2~3時間毎、1日8回以上搾乳することが望ましいです。
なぜこんなに頻回に搾乳が必要かというと母乳をつくるプロラクチンが関係しています。
先ほど書いたようにプロラクチンは乳頭の刺激があった時に分泌されます。
そのため刺激がないとプロラクチン濃度が減少してしまい、何も刺激がないと1週間で妊娠前まで減少してしまいます。
つまり、母乳が出なくなります。
↓プロラクチンの濃度のイメージグラフです。
図のように乳頭への刺激があった時にプロラクチン濃度が上昇しているのがわかると思います。
2~3時間ごとに搾乳することでプロラクチン濃度の減少を抑えてくれています。
母乳の分泌がある程度確立してからも乳房内に母乳が残っていると分泌量が減少してしまうため回数は7~8回程度は行ったほうが良いと思います。
効果的な搾乳方法
母乳はもとはママの血液から作られています。
つまり乳房への血流が悪いと母乳の分泌が減ってしまいます。
効果的な搾乳で、分泌を促しましょう。
・こまめな水分摂取
→一気に水分を摂取しても体に吸収されにくいため、こまめに水分をとることをおすすめします。
・肩や胸を温タオルで温める。
→肩や胸を温めることで血流がよくなり、母乳が出やすくなります。
・体操をする
→腕の上げ下げや肩回しを10回ずつ行うことや、脇の下のくぼみを親指でグリグリすることによって血流が良くなります。
→胸を両手で下から支えて乳房自体もあげさげすることでより血流がアップします。
・足首をまわす
→産後は足がむくんだりして心臓に返ってくる血流量も減ります。足の体操も行い全身の血流を良くしましょう。
・搾乳器を使用する
→手搾りは効果的に行うのが難しいです。また一生懸命搾乳しようとすることで肩こりが悪化する原因になる可能性もあります。
→可能であれば電動の搾乳器で両胸同時に搾乳できるものを選択すると効果的です
・赤ちゃんのそばで搾乳する
→赤ちゃんを見たり、感じたりすることでホルモンの分泌がアップします
・夜間も搾乳する
→赤ちゃんが泣いてくれれば別ですが、夜中に目覚ましをかけて搾乳するのは大変だと思います。
ですが夜中の方がホルモンの出が良いため、特に産後早期は夜間もできる限り搾乳しましょう。
搾乳することでのママへの負担
ここまで母乳分泌確立について書いてきましたが、早産で出産されたママのメンタルはとてもナイーブです。
早く産んでしまったことに対して罪悪感を感じていたり、とても複雑で、母乳のことまで気持ちがいかないこともあると思います。
また、産後の母体は交通事故にあったくらいダメージを受けているとも言われています。
そのため体調面からも頻回に搾乳を行うことは難しいかもしれません。
赤ちゃんにとってもママが元気でいてくれることが一番だと思います。
もちろん母乳のメリットは大きいですが、日本の粉ミルクは優秀なため粉ミルクだからダメというわけではありません。
完全母乳じゃなきゃダメというわけでもありません。
まとめ
おさらいすると、早産児に母乳を与えるメリットは、
- 早産児の赤ちゃんに足りない栄養素を含んだオーダーメイドの母乳が分泌される
- 免疫力アップ
- アレルギー予防
- 消化が良く体重増加が良好
- 壊死性腸炎、未熟児網膜症など早産児に起こりやすい病気のリスクを減少させる
といったことです。
また、赤ちゃんが生まれたからといって、勝手に母乳が出てくれるわけではありません。
「プロラクチン」を体に分泌させるために、産後できるだけ早く、搾乳をする必要があります。
回数は、できれば、一日で8回以上がおすすめです。
効果的な搾乳方法も紹介していますので、この記事を参考に、無理のない程度に実行してみましょう。
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